人の体を治すために医者は研修期間を含めて6年、柔道整復師・鍼灸師でも3年でようやく国家試験を受ける資格を得ます。しかし、民間療法の中には新聞などの広告をみると1泊2日で開業できる
といった所も存在するようですが、その程度の経験で病んだ人の体を回復させる事ができるのでしょうか? 現実は、そんなに甘くありません。なにより、あなた自身が患者ならそんな所には行きたくないはずです。
日本理学整体学会のカリキュラムを見て「長い」と感じる方もおられるでしょう。しかし、「どこへ行っても改善されない人」や「手術をしたにもかかわらず、改善されずに悩んでいる人」など多くの痛みを抱えた人の体を正すためには、研修会でしっかり勉強し、様々な経験を積まなければ「凄い先生」にはなれません。
日本理学整体学会には、医師や他の資格を持った方も来られます。なぜならば「癒し」ではない本当の施術を学ぶために研修会に参加されているのです。
現在、整形外科や他の療法がこれほど乱立する中で、いまだに腰痛などに苦しんでいる方が数多くいます。私も現場で施術を行っている現役の整体師です。しかし、私一人で救える人は限られています。
私が現場で培ってきた施術経験、そして技術を多くの人に習得していただき、多くの苦しんでいる人を助けてあげてほしい、改善する喜びをあじわってもらいたい。
そのためにこの研修会を行っているのです。
日本理学整体学会会長 酒井 和彦
私たちの整体は、筋肉や関節の可動状態やバランスを調べ、もし可動域に制限があったり、バランスが崩れている場合は、そのバランスを調整することで、全身の機能を回復させる調整法です。
ですから、ある部位に症状が出ていても、その部位だけを特定して調整するものではありません。
ある筋肉の状態が異常になると、それが次から次へと他の筋肉や関節に影響を与え、一つの異常が波状的に他の異常を引き起こすのです。
こうしたことからも、ある一部分の異常だけに着眼するのではなく、全身状態を調べて調整しなければ、すべての異常は改善されないはずです。
われわれ施術する側の者にとって、異常のある方の訴える痛みやしびれ、その他の不快感は、本人以外は誰も知ることができません。しかし、形の異常、あるいは動きの異常は、すべての施術する側の者のみならず、異常のある方にも生体の異常として理解していただけると思います。ですから、症状にとらわれることなく体全体の異常を調べ、正常な状態に整えて健康な体に戻すことによって、症状を改善しなければなりません。
そこで理学整体では、手技を用いて全身のバランスを整えていきます。これだけでは、理学整体が果たしてどのような手法を用いて施術にあたっているのかは理解していただけないと思います。そこで、いくつかの例をとって私たちの調整法を紹介することにします。ここに紹介するのは、ごく一般的なわかりやすい手法ですが、それでも写真では、力の入れ具合(ほとんど操作による痛みはありません)、呼吸の方法などはわかりにくいかもしれません。
ここで手法を紹介するのは、皆さんにそれをやっていただこうということではもちろんありません。いったいどんな施術をするのかという方々の疑問を、少しでも解消するためのものです。
施術は非常にソフトで、異常のある部位に痛みを加えたり、不快感を与える無謀な操作をすることがまったくありません。症状がひどい場合は患部に触れることさえないのです。異常のある方にこうしたことをお話すると、今までの常識や、現在の西洋・東洋医学を受けた経験から、「そんな施術は信じられない」
とおっしゃいます。ところが、実際に調整を受けた後には、「なぜ」「どうしてこんなことで…」
と、その調整効果に驚いたり、不思議そうな顔をされます。
説明では非常に簡単な調整のように思えるかもしれません。しかし、力加減、角度、呼吸法など非常に微妙な技術が要求されるもので、これは残念ながら写真と説明文ではお伝えすることができません。いずれにせよ、叩くとか、無理にひねる、もむなどの要素がまったくないことだけはおわかりになると思います。